なんだか温かいなあと思って目を開けると、目の前に至近距離のカナデの顔があったので、取り敢えず拳をめり込ませておいた。
「ひどい! この美形になんてことを!」
「あれ? わたしどうしてお布団で寝てるの?」
「無視ですか! そうですか! まあいいですけど!」と、拗ねているカナデはさておき。
「アオイちゃん、シャワー室で倒れたんだよ。覚えてない?」
「シャワー室?」
カナデを殴った音で気づいたのか、みんなが心配そうにこちらへとやってくる。
「あおいサン、大丈夫?」
「お嬢ちゃん、どっかぶつけてないか」
「あおいチャン。もう寒くない……?」
……寒い? どういうこと?
「あなた、道着着まま冷水を浴びたりして、何してたの」
きっと一番に助けてくれたのだろうナズナが、そう聞いてくる。
「え? 冷水…………あ。ああ、体がちょっと、運動したせいで火照っていたので、冷まそうかと思って!」
慌てて理由を並べる葵に、ナズナが視線を合わせてくる。
「どんどん冷たくなっていったから心配したわ」
「す、すみませんお騒がせしてしまって……」
改めて、葵はしっかり姿勢を正す。
「心配していただいて、ありがとうございます」
流石に今回ばかりはと、頭は下げておいた。まあ大丈夫なら……と、大人たちは顔を見合わせていたけれど、すでに隠し事をしているのを知っているアカネとカナデだけは、顔が険しいまま。素直に信じてはくれそうになかった。



