「あおいちゃん! ……っ、あおいちゃん!!」
ナズナが何度も葵の頬を叩くが、一切返事はない。
そして、未だザーザーとシャワーから流れ続けているのは冷水。道着を着たまま、彼女は何故冷たいシャワーを浴びていたのか。
脈はある。息もしている。熱があるわけでもない。
ただ彼女の唇は紫色で、指先は凍っているのではないかと思うほど冷たくなっていた。
「……っ、取り敢えず温めるわよ! お布団敷いて! 暖房入れて! 湯たんぽと電気毛布の準備! 早く!!」
ナズナの指示を受けたみんなは、一斉に道場の中を温め始める。布団を敷いて着替えさせた彼女をそこへ寝かせてあげるが、つらそうな息を吐くだけで呼びかけには答えられそうにない。
しばらくしたらようやく落ち着いたのか。唇の色は戻り、指先も温かくなってきて、静かに眠っていた。
「ひとまず、救急車は呼ばなくても大丈夫かしら……でも、一体何が」
「なずな? どうした?」
「……いえね? あの子、服着たままだったじゃない? しかも冷水浴びてたのよ? 多分あたしたちが駆けつけるまでずっと」
彼女がそう言ってみんなは黙ってしまう。
一体彼女に何が起こったというのか……。



