「ほらあアカネくん! 本気で来いって言ってんだろーがあ!」
「……っ、はあああ!」
何度容赦無く投げ飛ばされても、アカネはすぐに起き上がって、葵に攻撃を仕掛け続ける。その場にいた彼らは、固唾を呑んで二人の決着を見守っていた。
「どうしたあー! 君の本気はこんなもんか! ああ!?」
「っはあ。はあ。……っ、はあああッ!!」
立ち上がっては投げ飛ばされている。それの繰り返し。口調はさておき、本気でぶつかってる彼らはとても楽しそうだった。
「どうした! アカネくんはこのまま何も言わないのか!」
「っ、おれ、はっ。……――はあああ!」
アカネは葵の奥襟を掴み、遠心力で体を振り回す。
「おれはあ! 柔道が好きだあ! おじいちゃんも! 父さんも母さんも! おれのことを思って今まで話さなかったことを話してくれて、今! すっごい嬉しんだあ!」
ダダダダダッと、二人は組み合い畳の上を移動する。
「でも! 柔道が大好きだけど! っ、おれはあ! もう少しだけ絵を描いていたい! もっと……夢をっ! 描いていきたいんだああああッ!!」
大きな本気の声に、葵が一瞬気を取られてしまったのをアカネは見逃さなかった。
「はあああああ――ッ!!」
そのまま葵の腕を引き込み、綺麗な一本背負いが決まる。



