すべてはあの花のために②


 昔、ここで習っていた生徒さん。当時は稽古も今より厳しくて、彼らは文句を言いながらも強くはなっていった。
 でも彼らの心に、おれらは傷をつけてしまったみたいなんだ。

 お前が小さかった頃、父さんがここを卒業した五人の生徒に囲まれてな。罵詈雑言を浴びせられていたんだ。でも父さんは全く動じずに、ただ彼らのはけ口になっていた。
 父さんの中にも、厳しく稽古しすぎた自覚や後悔があったんだと思う。


 だからか今はだいぶ緩くてね。その事に対しても腹が立ってたのか、今度は父さんに暴力を振るい出した。
 父さんは生徒たちに手は出せない。ぼろぼろになっても止めなかった。

 流石に見かねたおれは止めに入ったんだけど、おれのことも嫌いだったのか、今度はおれを殴り始めてね。今度はおれが、彼らの思う存分はけ口になろうとしたんだけど……どうやら当たり所が悪かったらしく、両足が動かなくなった。
 まあ、あれだけバットやらなんやらで殴られたらそうなるよね。


 でも、そんなことのためにおれらはここで稽古をつけてきたわけじゃない。自分自身を、そして自分の大事な人を守るために、おれらはみんなを強くしていったつもりなんだ。
 残念ながら、その思いは彼らには届かなかったみたいなんだけどね。