すべてはあの花のために②


「かあさん? え。お仕事は……?」

「今日はもう上がらせてもらったから大丈夫よ?」

「ど、どうして?」

「あなたの大好きなあおいさんから、電話をいただいたの」


 アカネとカナデは、弾かれたように葵の方を向く。


「あおいチャン、一体。何のために……?」

「それはわたしが話さなくてもいいことでしょう? アカネくんは、自分が知らないことをきちんと聞いてみて。アカネくんが素直になったんだから、彼らも素直になるはずだから」


 葵はただ、ふわりと笑うだけ。
 アカネは頭の中がパニックだったが、次の一言で、一気に目が覚める。


「おれは、事故で足が動かなくなったわけじゃないんだよ」

「え?! どういう、こと……?」

「あかねはまだ小さかったから。本当のことは言わなかったの。これはあたしたち三人で決めたことよ」


 アカネを宥めるようにナズナが答えた。


「でも、もうここまで大きくなったんだ。もう言ってもいいよな父さん」

「……お前がいいなら。わしは……」


 チガヤはアサジに承諾を得る。


「……この怪我はな? ここの生徒にやられたものなんだよ」