「……ねえアオイちゃん。二人はどんな話をしてるのかな」
葵はカナデと一緒に二人の試合の様子を離れて見ていた。
「多分アカネくんは、素直に自分の気持ちを話してるんだと思うよ」
「そっか。素直に……か」
話自体は終わったのか、彼らは本気で試合をし始める。
そして――――ダンッと大きな音を立てて、アカネの背中が畳に付いた。
「ありがとうございましたあ!」
アカネは祖父に負けた。
でも、どこかスッキリした様子で、笑顔のまま葵たちの方へと帰ってくる。
「あおいチャン、ちゃんと話してきたよ~!」
「それで、アカネくんはどうするの?」
「おれは、高校を卒業したらここの道場を継ぐ。絵は、趣味範囲でならいいって言ってくれたんだあ~」
「……そっか」
「あおいチャン、ありがとう」とアカネに言われるが、葵は視線を彼から外さない。
「……お祖父様。アカネくんと話してどうでしたか」
「どうもこうもない。絵何が好きなのか、わしには理解できん」
「それではお祖父様。これを見ても、アカネくんがどれだけ絵が好きか。お祖父様にそのすごさを伝えたいのか……っ、――――わかりませんか!」
そうして葵は、カナデから大荷物を引き取り、学校から持ってきた物を道場へと広げる。
「あ、あおいチャン、これ……」
広げたのは、アカネのカナデの合作。流石に重いので全部は持ってこられなかったが、その中でも葵が一番彼の思いが込められていると思った【飛翔】を拝借してきたのだ。
「お祖父様。これはアカネくん、そしてここにいるカナデくんの合作の作品です。これを見ても、あなたは何も思いませんか? アカネくんが伝えたいことがわかりませんか?」
――いいえ。あなたにだけはわかって欲しい。あなたには伝わって欲しいと。そんな思いが込められているこの作品の意図がわかりませんか。



