すべてはあの花のために②


 そして、その状況が幾許か続き。


「……参った」


 アサジが何も仕掛けないまま、降参した。
 カナデはというと、「何があったの?」と首を傾げている。


「賢明なご判断ありがとうございます。……先程の素人発言は撤回します。失礼なことを言って申し訳ありませんでした」

「ここに立つまでわからんかったなら、わかっていないも同然だ」

「……ではお約束通り、アカネくんの話を最後まで聞いてもらえるでしょうか」

「男に二言はない」


 すると葵は、ぱあーっと顔を明るくして、「だってアカネくん! よかったね~!」と態度を急変したので、その場にいた全員がビックリした。


「あ、あおいチャン、そのためだけにおじいちゃんと勝負したのお?」

「だって、アカネくんの話聞かないって言うんだもんっ。わたし怒ってるんだよ!」


 ぷんすこと怒る葵が可愛くて、そして嬉しくて。アカネは「そっか。ありがとお!」とふにゃり笑う。

 でもすぐにシャキッと顔を戻し、アサジと向き合った。


「おじいちゃん、おれから話があるんです」

「師匠だ」

「うん。でも今はおじいちゃん。おれもおじいちゃんと一緒で素直じゃないから、よかったら試合しながら話してもいいかな?」


 そう言ってアカネは畳を指差す。祖父はそれに静かに頷き、二人移動して組み合った。