そして、その状況が幾許か続き。
「……参った」
アサジが何も仕掛けないまま、降参した。
カナデはというと、「何があったの?」と首を傾げている。
「賢明なご判断ありがとうございます。……先程の素人発言は撤回します。失礼なことを言って申し訳ありませんでした」
「ここに立つまでわからんかったなら、わかっていないも同然だ」
「……ではお約束通り、アカネくんの話を最後まで聞いてもらえるでしょうか」
「男に二言はない」
すると葵は、ぱあーっと顔を明るくして、「だってアカネくん! よかったね~!」と態度を急変したので、その場にいた全員がビックリした。
「あ、あおいチャン、そのためだけにおじいちゃんと勝負したのお?」
「だって、アカネくんの話聞かないって言うんだもんっ。わたし怒ってるんだよ!」
ぷんすこと怒る葵が可愛くて、そして嬉しくて。アカネは「そっか。ありがとお!」とふにゃり笑う。
でもすぐにシャキッと顔を戻し、アサジと向き合った。
「おじいちゃん、おれから話があるんです」
「師匠だ」
「うん。でも今はおじいちゃん。おれもおじいちゃんと一緒で素直じゃないから、よかったら試合しながら話してもいいかな?」
そう言ってアカネは畳を指差す。祖父はそれに静かに頷き、二人移動して組み合った。



