すべてはあの花のために②


 引き留められた葵は、怪訝に顔を顰める。


「普通に嫌なんですけど……」

「それは困ったなあ」


 そう言うと彼は、困った顔でお腹を押さえて。


「おれ今すんごいお腹空いてるから、ご飯作ってもらいたいんだけど」


 そんなことを言うもんだから、三人は両手を前に突き出して、昭和漫才のように滑って転けた。


「と、父さん? 今そんなこと言う?」

「腹が減っては戦はできぬって言うでしょう? みんなであかねが作ってくれる、美味しいご飯を食べようよ」


 彼は笑顔で嬉しそうにそう言うだけで、どうやら葵の行動自体を引き止めたかったわけではないようだ。


「……ふむ。それもそうですね。じゃあアカネくん、いってらっしゃい」


 そしてあっけなく寝返った葵は、アカネとカナデに手を振った。
 カナデに至っては「なんで俺もなの……」とぶつくさ言いながらも、なんだかんだ一緒に作ってきてくれるらしい。