引き留められた葵は、怪訝に顔を顰める。
「普通に嫌なんですけど……」
「それは困ったなあ」
そう言うと彼は、困った顔でお腹を押さえて。
「おれ今すんごいお腹空いてるから、ご飯作ってもらいたいんだけど」
そんなことを言うもんだから、三人は両手を前に突き出して、昭和漫才のように滑って転けた。
「と、父さん? 今そんなこと言う?」
「腹が減っては戦はできぬって言うでしょう? みんなであかねが作ってくれる、美味しいご飯を食べようよ」
彼は笑顔で嬉しそうにそう言うだけで、どうやら葵の行動自体を引き止めたかったわけではないようだ。
「……ふむ。それもそうですね。じゃあアカネくん、いってらっしゃい」
そしてあっけなく寝返った葵は、アカネとカナデに手を振った。
カナデに至っては「なんで俺もなの……」とぶつくさ言いながらも、なんだかんだ一緒に作ってきてくれるらしい。



