そう言い切ったきり、三人は葵を呆然と見ていたけれど。
「……あおいチャン。言いたくても、言えないんだ」
「どうして」
「おじいちゃん、もう……長くないから」
「だから?」
間髪を入れず返ってきた葵の言葉に、アカネは目を丸くした。
「だ、だから、おじいちゃんはもう長くないからおれが早く道場を継がないといけなくって。それだから、これはおれが自分で決めて、おじいちゃんに継ぐよって言って……」
「その中に、アカネくんの本当の気持ちはないじゃない」
そう言うと、アカネは唇を強く噛み締めた。
「……孫の本当の思いを知らないままなのは、すごく寂しいと思うよ」
「え……?」
「確かに、高校を卒業したら跡を継げと言われたかもしれないけど、アカネくんはそれを承諾したんでしょう?」
彼はちゃんと知らないんだ。君の、本当の気持ちを。
「それでも頑なに『ダメだ! 今すぐ継げ!』なんて言ってきたら、わたしが間に入るよ!」
「だ、だめだよ! おじいちゃんは自分の言うことが正しいって思ってるし、何より自分より弱い人の話は聞かないよ!」
「それならアカネくんがお祖父様に勝てばいいだけの話じゃない」
おれはもうこんなに強くなったよって。
だからもう少し夢を描きたいんだって。
「……そうだ! その前に試合をしてくれないかもしれないから、アカネくんの前にわたしが入ろっと! よし。こうなったら今すぐに行こう!」
「ちょ、あおいチャン?!」
「あおいサン。ちょっといいかな?」
しかし、アカネの服の裾を引っ張って行こうとする葵を、今まで口を挟まなかったチガヤが止めに入った。
「申し訳ないんだけど、あかねは置いていってくれるかな」



