「それであかね? おれはここにいてもいいのかな?」
「うん。父さんが嫌じゃなかったらいて欲しいな?」
アカネがそう言うと、父は一度葵の方を見て納得したようだった。
「そっか。この子に教えてあげるの?」
「うん! この子には知ってて欲しいんだー」
そう言ってもらえて、胸がきゅっと苦しくなる。二人がとても、切ない顔をしていたから。
「でもねでもね? どうやらあおいチャンは“かなでの噂”とやらで、何となく知ってるみたいなんだよ父さん」
アカネの言葉にカナデがびくっと肩を揺らす。
「なんだって! そうか。“かなでの噂”でかあー。何を聞いたんだろうねえー?」
「ほんとだよね? おれは言って欲しくなかったかもしれないのにい、そんなことさらっと言ってくれちゃうなんてさあー?」
そんなことを言われているカナデから「言ったの?」と小さな抗議が来たので、しれっと「カナデの噂だもーん」と言っておいた。
「冗談はさておき。どうやら父さんや。かなチャンもあおいチャンと一緒で、おれのことをとっても心配してくれているようなんだよ」
「おおなんと! そうであったか! それはそれは! じゃあ彼にも教えてやるといいかもしれんのお!」
この二人には突っ込めなかった。可愛すぎて。
「だから……つまんないかもしれないけど」
アカネは、そう前置きして話してくれた。
「おれの家は代々、二宮道場を受け継いできたんだ」



