すべてはあの花のために②


「それであかね? おれはここにいてもいいのかな?」

「うん。父さんが嫌じゃなかったらいて欲しいな?」


 アカネがそう言うと、父は一度葵の方を見て納得したようだった。


「そっか。この子に教えてあげるの?」

「うん! この子には知ってて欲しいんだー」


 そう言ってもらえて、胸がきゅっと苦しくなる。二人がとても、切ない顔をしていたから。


「でもねでもね? どうやらあおいチャンは“かなでの噂”とやらで、何となく知ってるみたいなんだよ父さん」


 アカネの言葉にカナデがびくっと肩を揺らす。


「なんだって! そうか。“かなでの噂”でかあー。何を聞いたんだろうねえー?」

「ほんとだよね? おれは言って欲しくなかったかもしれないのにい、そんなことさらっと言ってくれちゃうなんてさあー?」


 そんなことを言われているカナデから「言ったの?」と小さな抗議が来たので、しれっと「カナデの噂だもーん」と言っておいた。


「冗談はさておき。どうやら父さんや。かなチャンもあおいチャンと一緒で、おれのことをとっても心配してくれているようなんだよ」

「おおなんと! そうであったか! それはそれは! じゃあ彼にも教えてやるといいかもしれんのお!」


 この二人には突っ込めなかった。可愛すぎて。


「だから……つまんないかもしれないけど」


 アカネは、そう前置きして話してくれた。



「おれの家は代々、二宮道場を受け継いできたんだ」