「どおぞー。ゆっくり寛いでね~」
彼が案内してくれたのは、家から町全体が見渡せるようなアトリエ。
「うわー。すごい綺麗な景色……!」
「だろー? これにはこだわったんだー」
話し方もそっくりだ。
「自己紹介がまだでした。わたしは『あおい』と言います」
挨拶しながら茶菓子を渡すと、一瞬彼は驚いたように目を見開く。
「これはこれは。ご丁寧にありがとうあおいサン。おれの名前は茅って言います。どうぞ気軽にちーチャンって呼んでね?」
「そ、それは難しいので、チガヤさんと呼ばせてください」
「そっかあ」
すごく残念がられてしまったけれど、流石に葵にはハードルが高かった。
「あおいチャン。この人はおれのお父さん。って言わなくても何となくわかったかなあ?」
「うん。雰囲気が一緒だったから」
そう言うと二人は目をパチパチしながら「雰囲気?」と目を合わせている。……なんだ。その可愛い動きは!
頑張って涎を垂らさないようにしていると、「えらいえらい~」とカナデが撫でてきたので睨んでおいた。その様子に、チガヤが「二人は付き合ってるの?」なんて聞いてくるから、慌てて「違います!」と全力否定。
その突っ込みに、アカネだけではなくカナデも加わっていたのは、ちょっと意外だった。



