すべてはあの花のために②


 葵は今から帰ることをシントに連絡をして、一息つく。今日はアカネとカナデに送ってもらっていた。


「あおいチャン。もしよかったら、明日少し時間もらえる?」


 アカネが後ろで腕を組みながら聞いてくる。明日は今日の振替休日だ。


「で、デートですか?」

「うーん。じゃあ、お家デートと行きますかあ!」

「ど、どうしよう。お家の方に何か持って行った方が……」

「いらないいらない。手ぶらで来てくれたらいいよー」


 彼はそんなことを言うけれど、せめてお茶菓子は持っていこう。


「あ、ついでにかなチャンも連れてくるといいよ?」


「ねえーかなチャンっ」とアカネはカナデに話しかけているが、当の彼はというと「え? なんで?」と首を傾げていた。


「え! かなチャンがあおいチャンとのデートに文句言わないなんて!」

「ええ?! アオイちゃんとデート?! 俺も行く!!」


 どうやら話を聞いていなかったようで、早速食い付いていたけれど。
「それじゃあ、11時に駅で待ち合わせねえ~」と、アカネとは途中の交差点で別れ、今はカナデと二人きり。先程から少し心ここにあらずの彼に、「今日は楽しかったねー」と声をかけると、「うん。そうだねー」と軽い返事は返ってくる。


「カナデくんって変態だよねー」

「アオイちゃんには負けるよー」

「どこ見てんのー」

「アオイちゃんしか見えてないよー」

「何探してんのー」

「アオイちゃんへの愛だよー」

「さっきの話してからちょっとカナデくんおかしくないー?」

「そんなこと全然ないよー」

「さっきの依頼主にでも心当たりがあるのー?」

「全然ないよー」

「じゃあ三人に心当たりがあるのー?」

「それもないよー」

「わたしあいつらにいろんなとこ触られたんだけどー」

「そんなことな……――はあ?!」