「それじゃあ葵、何があったのか話してくれ」
みんなの視線が向けられる。少し心配そうにしていたアカネには『大丈夫だよ』と見つめ返してから、葵は話し始めた。
まず、業者から『タイヤ奪いの数が足りない』連絡が入ったこと。一応予備の場所は教えていたけれど、忘れたのかと思って置いてあった体育館裏に直接案内をしたこと。
「どうしてアンタはそこで誰かを連れて行こうとはしなかったの?」
ツバサからの質問に、アカネの方をちらっと見る。
「これは内緒にするつもりだったんだけど、昨日わたしが体育館でコスプレをしたのは、業者の方の中にアカネくんの知り合いがいたからなの」
「えっ?」
「打ち合わせの時にわたしを見て、アカネくんをビックリさせようとしたんだって。それにわたしも協力した」
アカネは「あいつら……」とぼやいていた。
「だからヒナタくんが言ってた視線は彼らのものだったんだと思って、それなら大丈夫だと思って勝手に行動してしまったの」
葵は謝ったが、もう頭は下げなかった。
それに渋々納得したアキラが「それで?」と先を促し、体育館裏で起きた出来事を話す。
羽交い締めにされて一瞬動けなくなったこと。近くにアカネの知り合いが縄に縛られて気絶していたこと。幸い大きな怪我はなかったこと。
「その時にね、話を少しだけ聞いたんだ」
彼ら三人には、イカれた依頼主がいること。彼らの意志では動いてはいないこと。そして、以前にも似たようなことをしたことがあって、それを彼らはやり過ぎだと思っていたこと。



