すべてはあの花のために②


 その後の表彰状授与・賞品贈呈にも3年生は出ず、「お前が行け」と今度は目でアキラをご指名。「行きたくない……」とごねりながら、渋々理事長の前へ。

「おめでとうアキラくん。最高のお姫様抱っこ……じゃなかった、走りだったよ?」と理事長は渡しているが、流石にいじり過ぎたと思ったのか、アキラのオーラにビビっていた。

 最後に「賞品はぼくが用意するから楽しみにしててネ?」と理事長が言っていたが、正直ここまで楽しみじゃない賞品はないなと思った。


 その後理事長が挨拶と講評をして国旗・校旗の降納。そして――――。


『閉会の言葉』


 アキラが台の上へ上がっていく。
 いろいろあったけれど、楽しかった体育祭はもう終わり。


「また来年が楽しみだねっ」


 後ろからキサが覗き込んでくる。葵は小さく頷いた。



「……そうだと、いいね」

『以上をもちまして、桜ヶ丘体育祭を終了致します』


 葵の小さな願いは、アキラの言葉に遮られ――そして桜ヶ丘の体育祭は、幕を閉じたのだった。