すべてはあの花のために②


『ここで第5走者へバトンが繋がれましたー! アオイちゃーん頑張ってー! 後でご褒美あげるよー! 俺のこともらっ――……すごい悪寒がしたのでここでやめておきます!
 そんなことを言っている間に! なんと道明寺選手は前のBクラスを一気に…………――――抜いたあああッ!!』

「(ッみんなから応援の声が聞こえる。……でも、これ以上は……っ)」

『しかし! Aクラスには一歩届かず! 最終走者へ全クラスバトンが繋がりましたっ! チカちゃんいっけー! 1番もぎ取れーッ!』


 だんだんと、カナデの実況にも力が入っていく。


「チカくんお願い!」

「おう任せろ!」


 お得意の笑顔でそう言われると、不可能なんてない気がした。


『最終走者だけはトラック2周。体力と足の速さが勝負になってきます。トラック1周し終わった順位は、1位Aクラス。2位Sクラス。3位Bクラスです! しかし、Bクラスは体力がなくなってしまったのか、どんどん引き離されています! ここはAとSの一騎打ちになりそうです!

 ラスト半周! なんとここでSクラスの柊選手が横に並びます! しかし彼は外側! なかなかAクラスを抜ききれません! そして――――そのままの状態で二人もつれてゴおおおールッ!!
 さて! どっちが勝ったのでしょう! 見た感じは同着です! これはビデオ判定になりそうかあ?!』


 体育祭でビデオ判定……お金持ちならではですね。