すべてはあの花のために②


『さ、さあ! そして次はぐるぐるバットです! くるまれた人を放っておいて、二人でいきなり剣道をし始めました!』

『そうこうしているうちに、ネットの人は芋虫状態でそのまま進んでいきます! どうやら、剣道をしている二人は一本をどちらかが取らないと進まないようです!』


 ――おい! 競技変わってるよーっ!


『そしてなんと! 芋虫さんは麻袋を頭から被ってそのまま、ニャッキニャッキと進んでいきます!』


 ――あなたも何してるのーっ?!


『そうこうしているうちに! どうやら剣道の決着が付いたようです! そのままバットを持って進み、彼らも麻袋を頭から被って『メーン!』と言いながらバットを縦に振り回し突き進んでいきます!』


 ――いやいや怖いから! 『芋虫さん逃げてー!』って応援も聞こえてるよ?!


『そして、芋虫ニャッキもなんとか到着したようです! ……おーっと? まだ何かあるんでしょうか?』


 いつの間にネットを解いたのか。そしていつの間に仕込んでいたのか。彼らは麻袋からバズーカのようなものを取り出し――――バーンッッ! と空に何かを打ち上げた。

 すると空には、大きな大輪の花火が咲き乱れ――――。


 桜 体育祭 最高!


 という文字が一緒に打ち上げられた。
 ちらりと理事長の横顔を見てみると、嬉しそうに微笑んでいた。


「すごい……。綺麗だね」


 葵が感嘆の声を上げていると、チカゼに肩をぽんと叩かれる。


「そうだな! でも、これが最後じゃない。オレらは準備に行くぞ」


 その後ろにはアキラの姿も。
 ……そう。まだ最後じゃない。次が最後の競技だ。


「……うん! それじゃあ、みんな。行ってくるね!」


 テントに残っているみんなに葵はそう言ってから、チカゼ、アキラとともに入場門へ行く。
 最後の競技は各学年、各クラスから、男女二人ずつ選出されたクラス対抗のリレーだ。


「「「さあ、優勝もぎ取りますか!」」」


 いよいよ長かった、体育祭最終競技――――開始だ。