すべてはあの花のために②


 棒倒しで完敗を食らった1年生三人組が、落ち込んだ様子で戻ってくる。


「大丈夫だよ! まだまだ点差はあるからね!」


 葵がそう励ましても、彼らはしょんぼりしたまま席に着いていた。相当悔しかったらしい。
 そうこうしていると、今度は障害物競走が始まった。
 至って普通の障害物しかないのだが、最後の一組は笑いに走るので、それが毎年楽しみで見に来る保護者もいるという。障害物は最初にネットの下をくぐり、平均台を渉り、ぐるぐるバットをして、最後は麻袋に両足を入れてぴょんぴょんしながらゴールする。
 ちなみにこの障害物は葵の案。以前いた学校の授業の一環で似たようなものがあったので、提案させてもらったのだ。


「(ぴょんぴょんって男の子がやったら可愛いよね~)」


 そんな変態チックなことを考えていると、いよいよ最後の一組に。
 ここからはチカゼ&カナデの実況でお送りします。


『さあ! いよいよ最後の一組になりました! 楽しみですね東條さん!』

『俺は女の子にしか興味がないので~。むさい男たちはさっさと始めちゃってくださーい』


 女の子からは黄色い声援が、野郎共からはブーイングの嵐が降ってきた。


『ど、どうぞ! 始めてくださいッ!』


 慌てたチカゼがそう言うと、最後の一組はカナデを軽く睨みながらも――パンッ! というピストルの音とともに一斉に走り出す。


『おーっと? どうやら彼らは一人をネットの上に寝転ばせてネットでくるんでいきます!』

『ええー? みなさんそんなプレイがお好きなんですねー。束縛なんて女の子は喜びませんよー?』


 いや~ん東條くんったら~!
 みたいな声が聞こえて、男子はカナデをギロリと睨んでいた。


『ちょっとお前! いらんこと喋んなっ! そうこうしているうちに、ネットでくるまれた人を二人で担ぎ、平均台を渉っていきます!』

『おー。危なげもなく進むなんて……彼らはよほど足腰を鍛えているようですねぇ~』


 きゃあー! と叫んではいるが、どこか嬉しそうな女子たち。
 その代わり、なんだか男子は呆れていた。「あんな奴の何が……顔か。顔なのか。顔が良けりゃ何言ったって許されるのか!」……と、嘆いているように聞こえる。