すべてはあの花のために②


 その直後、今度は上半身裸の1年生が入場。相変わらず黄色い声援だ。
 棒倒しは、三クラスに分かれて三方向一気に倒しに行くのだが、どうやらABクラスはこれ以上Sクラスに点数を持って行かれたら不味いと結託したのか、先にSクラスの棒を倒しにかかる。
 二クラス分の人数を相手に守り切ることができなかったSクラスは、あっという間に沈んでしまい、AとBの一騎打ちに。
 三人はしょんぼりしているように見えたが、ヒナタは先程から眉間に皺を寄せたままの状態だった。


「(嗚呼。ウサギさんとネコさんがしょんぼりしてるう……)」


 今の姿を写真に収めたかったと思って、指でカメラのポーズを取ると、「何してるんだ?」とアキラが話しかけてくる。


「このシーンをね、心のカメラに収めようと思って」

「それなら文化祭の日に貼り出されるはずだ。そこで自分が欲しい写真を頼めるよ」

「そうか! その手があった!」


「じゃあそうすることにする~」と大喜びしていると、ふっとアキラの表情がやわらかくなる。


「やっと笑った」

「え?」

「お前もここ、ずっと力入ってる」


 そう言ってアキラは葵の眉間をつんと突く。


「そ、そっか。気をつける」

「俺は、お揃いみたいで少し羨ましいけど」

「ん? 何が?」

「あいつもずっと、力入ってるから」


 アキラは、競技中のヒナタを指差していた。


「葵は可愛い顔が台無しだから。笑ってる顔の方がずっといい」

「っ、ぅえ!?」


 加えてそんなことをさらっと言い出すので、ビックリして顔が真っ赤に。


「ちょっと! こっちは真面目に仕事してんだから! そこでイチャつかないでくれる?!」


 点付け中のツバサが視線を競技から外さずにそう言うが、アカネとカナデはこっちをガン見してきていた。


「「……ごめん」」
「「「否定して!」」」


 みんなから総突っ込みされたが、一番遠くにいたキサは「あらまー!」と楽しそうに笑っていた。