「ここに一応予備のタイヤはありますので、これから持って行ってもらってもよろしいでしょうか?」
葵は体育館裏に準備していたタイヤの予備のところへ三人の業者を連れてきた。しかし、相手からの反応が一切返ってこない。
「(あれ? 聞こえなかったかな)あの、持って行ってもらえると有難いんですけ――」
言い切る前に、三人は一気に葵へと飛びかかってきた。
「(――ッ、しまった。別にいたのか!)」
三人はすっかり油断していた葵の体をホールドし、人目に付かないところに引っ張り込む。無線も奪われてしまい、連絡手段も絶たれた。
「俺らは別に、アンタに恨みがあるわけでもないんだけどな」
そう言って引っ張り込まれた場所に、昨日のアカネの友人三人が縛られていた。完全に伸びていて気を失っている。
「ちょっと俺らとイイことするだけでいいんだけどよう」
そう言いながら、一人が厭らしく葵の太ももを撫でてくる。
不快な気持ちを抑えながら、葵はもう少し情報を引っ張り出そうと問いかける。
「っ、あ、あなたたちは、どうしてこんなことを」
撫でる手は止まらない。放っておけばそのまま服の中に入ってきそうな勢いだ。
「俺たちはただ依頼されただけだし」
「(依頼?)一体誰に」
「そんなことどうでもいいじゃん。君とっても可愛いしー……あ、結構大きいんだね」
そう言って服の中に入ってきた手は、遠慮なしに葵の胸を触ってくる。
気分は最低最悪。しかし、今ひとつ情報が足りない。
「……それで? わたしといいことするだけでいいんですか」
「そんなにシて欲しいのか?」
そして今度は、葵のズボンに手が伸びてくる。
「まあ、流石に前のはやり過ぎだったもんな」
「(……ッ、前?)」
「そうそう。やっぱり依頼主はイカレてるぜ」
「だから、俺らはイイことするだけでいいかと思ったんだよ。お嬢ちゃん可愛いし?」
今度は直に触られそうになったところで。
「ふふふふふふふ」
「「「――?!」」」
葵が急に笑い出したので、三人はビビっていた。流石にイカれたと思われたかも知れない。



