「……ん……」
「おはようアキラくん」
次に彼が目を覚ましたのは、優に17時を過ぎた頃。
そうまでして起きないアキラは、やはり【異常】だ。
どうしたものかと思っていると、徐々にアキラの焦点が合ってくる。もう一度はっきり「おはよう」と声を掛けると、彼は心底嬉しそうな表情で答えた。
「うん。おはよう『 』」
やはり彼が呼んだのは、母ではなかった。
「……え?」
しかし、ようやく現実だとわかったのだろう。彼は目を丸くしたまま、未だに繋がっている手と葵を交互に見ている。
「おはようアキラくん。よく眠れた?」
まだ状況がわかっていないのか、部屋を見渡したり時計を見たり。
「どうしてこうなってるんだ」
「その前に手、離そっか」
「あ」
そう言ってようやく解放された手はすっかり赤くなり、所々に爪が立てられた痕がある。それに彼が気付かないよう、葵はそっと背中に隠した。
「葵」
「うん?」
「俺は変態に襲われたのか」
「違うからっ」
正気に戻った一発目がそれかいっ。



