すべてはあの花のために②


「……ん……」

「おはようアキラくん」


 次に彼が目を覚ましたのは、優に17時を過ぎた頃。
 そうまでして起きないアキラは、やはり【異常】だ。

 どうしたものかと思っていると、徐々にアキラの焦点が合ってくる。もう一度はっきり「おはよう」と声を掛けると、彼は心底嬉しそうな表情で答えた。


「うん。おはよう『   』」


 やはり彼が呼んだのは、母ではなかった。


「……え?」


 しかし、ようやく現実だとわかったのだろう。彼は目を丸くしたまま、未だに繋がっている手と葵を交互に見ている。


「おはようアキラくん。よく眠れた?」


 まだ状況がわかっていないのか、部屋を見渡したり時計を見たり。


「どうしてこうなってるんだ」

「その前に手、離そっか」

「あ」


 そう言ってようやく解放された手はすっかり赤くなり、所々に爪が立てられた痕がある。それに彼が気付かないよう、葵はそっと背中に隠した。


「葵」

「うん?」

「俺は変態に襲われたのか」

「違うからっ」


 正気に戻った一発目がそれかいっ。