『おーっと?! どうしたんだ桜庭選手! 一目散に教師のテントへ向かっていきま――……え。マジで? お前ほんとに? ダメなやつじゃないのそれ』
キサはというと、嫌がっているキクを無理矢理引っ張っている。
『……えっと。桜庭選手はどうやら朝倉先生に肩車をしてもらうようですが……キクめっちゃ嫌がってんじゃん』
嫌がっていると言うよりは焦ってるよ?! どうするのお題が〈恋人〉だったら!
『どうやら女王様に逆らえなかった朝倉先生は、嫌々肩車をして桜庭選手をダラダラとゴールへ運んでいきます』
ビリではなかったものの下から数えた方が早かったので、「もう! 菊ちゃん何してんの!」「いやだってお前ねえ」と痴話喧嘩をしていた。
『あ、はい。こちらも係の人から紙が回ってきました。えっと、何々…………?』
チカゼが読み上げようとするので、何が書いてあるかわからないキクは内心大慌てである。
『……〈だらしない人に肩車される〉。そ、その通りでした! 桜庭選手大正解! なんか疑ってすみませんっ!』
そう言いながらチカゼはマイク越しに何度も謝罪する。
そんなお題だったとは露知らず、「だらしないねえ」とキクはキサに何か耳打ちした後、彼女の顔を真っ赤にさせていた。人前ですよ。生徒と教師ですよー。
「(さあ、最後はわたしの番だ。……何が出るかな? 何が出るかな? ふふふ~ん)」
そうして、葵は位置についた。
『さあ、借り物競走もいよいよ最後となりました! ここで注目なのは道明寺さんでしょうか! 彼女が紙を開きました! ……ん? どうしたのでしょう。一目散にこちらへ駆けてきます』
葵はというと、紙を開いて一目散に生徒会のテントへ走る。
『おーっと? ……え? アカネ? しかもされるの?! ……いいなあマジで。羨ま……』
次の進行を確認していたアカネの腕を掴み、「お姫様抱っこしてくださいっ!」と少し恥ずかしそうに頼む葵。アカネはわけがわからずも、ちょっと嬉しそうにひょいっと、軽々葵を持ち上げて颯爽とゴールへ向かう。
『あーきっと道明寺さんのお題は〈オタクにお姫様抱っこされる〉でしょう。そうに違いありません。羨ましいかぎりです。オレがしたかった! そして道明寺さん堂々の――――1位でゴール!』
葵はアカネにお礼を言っていた。最初は戸惑っていたが、「役得だったあ~」とアカネも嬉しそうだ。
『あーはいはーい。一応、道明寺さんのお題が来ましたので確認しておきますね。ええっと、彼女のお題は……〈気になっている人にお姫様だっこされる〉――――って』



