すべてはあの花のために②


 3年女子の種目が半分終えた頃。お得意の【仮面】を着けて入場門へ。
 なんたって今日は体育祭。『誰』が『どこ』にいるかもわからない。特に、警察に通報されないよう気をつけないと。

 そして、2年選抜による楽しい借り物競走が始まる。
 ここからはチカゼの実況でお送りします。


『先頭は皇選手です! アキー! 頑張れーっ! 彼が紙を開きました! おーっと? 開いた紙を握り潰しています! 何が書かれていたのでしょうか! 彼の顔が途轍もなく険しくなっています! ……アキ? 何書いてあったの? ……え? ……そ、それは。頑張ってください。皇選手』


 チカゼの同情を聞きながら、アキラは教師たちのテントへ。そして――――。


『す、皇選手っ! すごく嫌そうな顔をしながら理事長をお姫様抱っこして連れてきています! 担がれている理事長は満面の笑顔です! 気持ち悪いですっ!』


 どうやらカナデをお姫様抱っこして以来、ずっと担いで欲しかったみたいだ。アキラはなるべく離れようと、全力で体を反らしていた。


『嫌々ながらも皇選手! 堂々の1位です! さっすがアキ!オレの尊敬する人っ!』


 若干彼の目からハートが飛んでるような気がするが、まあ気にしないでおこう。
 理事長は満足したのか「ありがとー!」と言ってテントへ戻っていった。アキラは1番の旗を握り締めたまま、ぐったりしていた。


『さあ続いて東條選手です! あれはできることなら実況したくありませんっ! ……なんで四方八方に投げキッスしてんだ! 真面目にやれ真面目に!』


 カナデはというと、可愛い子がいればキッスを投げたりウインクしたりしている。そして一番最後に紙を取って開いた。


『おーっと? 東條選手、すんごく顔が悲しそうだぞ? ……ちょ、カナ。何があったんだよ』


 チカゼはそう聞いてみるが、彼はそこから一向に動き気配がない。


『……ん? どうしたんでしょう東條選手。何か閃いたのか、“その手があった!”と手を叩いています! そしてー? あ、こちらにやってきました。何なのでしょう?』


 すると、カナデはツバサに紙を見せる。「は? お肌が荒れちゃうじゃない」って言いながらも、ツバサはカナデをひょいっと軽々おんぶしながらゴールへ向かう。そしてカナデたちは最後だったが無事にゴールできた。


『ええーっと何々? ここで、係の方から東條選手の引いた紙が回ってきました。……〈黒髪美女におんぶされる〉……東條選手! ナイスな変換です! よくやった! お前の男のプライドは守られた!』

「(なんだよう。わたしがしてあげたのにい)」

((きっとそれだけは嫌だったんだと思うよ))

『さてさてお次は……は? なんだよキサかよ。こいつはまあいい――』


 そう言ってチカゼは他の人の実況をしようと思ったが。