すべてはあの花のために②


「キサちゃん、給仕の方は大丈夫なの?」

「ちょっとだけ菊ちゃんに任せちゃった。女子は午前中競技固まってるしねー。でも、あたし的にはさっさと終わらせておきたいから問題ない!」


 2年生のマスゲームはフラッグを使う。風に煽られながらだと、早く動かすのは難しいが、バタバタッと音を立てて大きく動かすのはとても気持ちがいい。
 Aは緑、Bは赤、Sは黄色のフラッグを持って、キレのある動きとともに大きく動かす。
 移動する時、みんなとすれ違う度に笑みが零れた。


「(ああ。やっぱり今年は楽しいや!)」


 生徒会のテントに戻ってくると、久々に全員が揃った。


「どうだった? 綺麗だった?」

「♪~♪」


 オウリに満面の笑みで抱き付かれ、葵は涎が垂れそうに。


「顔」


 すかさずヒナタに注意されてしまった。しかし、今回は本当に気をつけなければならないのだ。


「いやー!」
「今っ! ……今!」
「氷川くんが笑ったんだけどおー!!」


 何せ彼らの周りには、パパラッチが潜んでいるからね。