「キサちゃん、給仕の方は大丈夫なの?」
「ちょっとだけ菊ちゃんに任せちゃった。女子は午前中競技固まってるしねー。でも、あたし的にはさっさと終わらせておきたいから問題ない!」
2年生のマスゲームはフラッグを使う。風に煽られながらだと、早く動かすのは難しいが、バタバタッと音を立てて大きく動かすのはとても気持ちがいい。
Aは緑、Bは赤、Sは黄色のフラッグを持って、キレのある動きとともに大きく動かす。
移動する時、みんなとすれ違う度に笑みが零れた。
「(ああ。やっぱり今年は楽しいや!)」
生徒会のテントに戻ってくると、久々に全員が揃った。
「どうだった? 綺麗だった?」
「♪~♪」
オウリに満面の笑みで抱き付かれ、葵は涎が垂れそうに。
「顔」
すかさずヒナタに注意されてしまった。しかし、今回は本当に気をつけなければならないのだ。
「いやー!」
「今っ! ……今!」
「氷川くんが笑ったんだけどおー!!」
何せ彼らの周りには、パパラッチが潜んでいるからね。



