「カナデくん。どうして残ってくれたの?」
「え? それは、薬塗ってあげようと思って……」
「聞きたいことが、あるんじゃなくて?」
そう言うと彼は弾かれるように顔を上げる。その顔は、とっても情けない顔だ。
「ほらほらそんな顔しないの。遅くなっちゃったし、帰りながらでもいい?」
「……うん。少しだけ、話したいかも」
生徒会室を後にした葵は、携帯さんに失礼のないようにした後、情けない表情のままのカナデに尋ねる。
「そんな顔しないの。心配なのも何もしてあげられないのも悔しいと思うけど、向こうはそんな顔カナデくんにして欲しいと思ってないよ?」
「やっぱり知ってた。気付いてたんだアオイちゃん」
ため息をついたカナデは、公園のベンチを指差した。どうやら、座って話したいらしい。
「俺らが作品作ってるの見た時、どう思った? 取り憑かれたようにかいてたでしょ俺ら」
ずっと見てたでしょ? と、そんな意味が込められている。
「うん。だから、二人の邪魔をさせてもらった」
「だよねーやっぱり。あのマグカップ、粉砕してたから」
「そ、そこまでじゃなかったはず……」
でもそうでもしないと、二人ともそこから帰ってきそうになかったから。
「アカネはさ、描いていたいんだよ」
「そっか。そうなんだね」
「でも、なんでアオイちゃんにあんなことしたのかな……」
「……誰にも言えないの。それは彼との約束だから」
「……何か、アオイちゃんに言ってた?」
「ううん。……多分、わたしにじゃないと思う」
「だよね、やっぱり」
そう言ったきり彼は口を噤んだかと思ったら、しばらくして「……ああああ゛ーッ!!」といきなり叫びだした。
「(は、初めてわたしが警察に電話をするとこだった……)」
そんなことを葵が考えていると「アオイちゃんはさ!」とカナデが声を張る。
「アカネのこと、心配じゃないの!?」



