彼の腕は、震えていた。
「それはしょうがないよ。それにアカネくんをああさせてしまった原因はわたしだから、これは自業自得。カナデくんが謝ることなんか、一つもないんだよ?」
「……っ。うん……」
「よしよし。カナデくんはどうしてそうなっちゃったのかな。わたしには教えてはくれないかな」
「……。うん。ごめんね」
「謝らないで。大丈夫だよ」
今度は葵が、カナデの背中を撫でてあげた。
「(本当に、みんなはやさしすぎるよ……)」
しばらく撫でてあげていると、彼の手が背中に移動した。抱き締め返してくるのかと思ったら、急に圧迫感が無くなり、そして――――キャミソールの中へ、冷たくなった手を入れてきた。
「ちょ。カナデくん何して」
「アオイちゃん着痩せするんだねー」
そう言って、ブラの上から遠慮なく胸を触ってくる。
「かなでくん! ほんとに怒るよ!」
「できる? ならやってみてよ」
いきなりどうしたのか。彼は葵をベッドへ倒し、覆い被さってくる。
「アオイちゃん今、自分がどんな恰好してるか知ってる?」
「だって、かなでくんがぬげって」
「それで、脱げって言われたらそうやって自分で脱ぐんだ」
「ちっ、ちがっ」
葵の両手を頭上で固定したカナデは、そのままスカートの中に手を入れようとして――――。
「か、カナデくん大丈夫!?」
慌てた葵が逃げようと蹴り上げたところが、まさかの彼の急所へ直撃。痛すぎて声も出ないカナデは、大事なところを押さえて悶絶中。その間に葵は制服に着替えた。
「アオイちゃん酷いよー。俺の商売道具が使い物にならなくなったら、どうしてくれるのー。責任取ってくれるのー……?」
「カナデくんわかってる? そうなったの自業自得だぞ?」
本気で涙を流す彼の背中を撫でていると、「どうせなら蹴ったとこ撫でて欲しい」とかほざいたので、今回ばかりは遠慮なく拳骨一発入れておいた。
「いや〜ごめんねアオイちゃん。俺のこと軽蔑しちゃったかなー?」
「大丈夫。すでにしてる」
冗談で言ったつもりなのに本当に落ち込み始めたから、「どうして友達を軽蔑しないといけないの」と言い直したけれど、「そっかー」と返す彼の寂しそうな表情は、どうやっても直らなかった。



