「やっぱり……結構赤くなってる」
キャミソールだけになった葵の腕を取るや否や、カナデは救急箱から塗り薬と湿布を取り出す。
「ほら腕出して。出さないとそのキャミ取るよ」
小さな脅しに渋々葵は受け身を取った腕をカナデの前に差し出す。カナデはゆっくり丁寧に、赤くなっているところに薬を塗り込んでくれた。
「あ、ありがとう……」
湿布まで貼ってくれた彼へ素直にお礼を言うが、カナデはキャミを捲れと言う。
「背中……それか腰か。そこも打ってるでしょうが」
「さ、流石にそこは自分で――」
「見えないでしょ届かないでしょ早く後ろ向いて」
「は、はい」
カナデに圧され、抵抗むなしく葵はキャミソールを上に捲る。患部をじっくり見た後、少し赤くなっていたのだろう腰元と、左側の肩の方にも彼は薬を塗ってくれた。
「他に打ったところは?」
「だっ、大丈夫だと思う!」
カナデが後ろから葵の顔を覗きながら言ってくるので、葵は反対側を向いてそう言った。
「……本当に?」
「う、うん。だから……お願いだから、ちょっと離れて」
今度はその反対側から覗き込むように言われ、葵は赤くなった顔を背けながら、彼の胸を押し返す。
「ここも打ったの? こんなに真っ赤にして」
「!」
そっと葵の頬を包み込むように、彼の大きな手が触れてくる。
真っ正面から見つめられて、葵は恥ずかしさと情けなさで目が潤むのを止められない。
「……そんな顔、しちゃダメだよ」
そう言ってカナデは、葵をふわりと抱き締めた。
「……かなでくん?」
「ごめんねアオイちゃん」
「?」
「そうなる前に、助けてあげられなくて」



