すべてはあの花のために②


 取り敢えず、鳩尾を狙って拳を一発。でも珍しいこともあるもので、今日に限って彼もただでは倒れない。痛みを堪えながら涙目で葵を見てくる彼は、問答無用で葵の腕を掴み、ベッドへと連れて行こうとする。
 葵は、抵抗をしようにもできなかった。彼の手が、震えていたから。


「……カナデくん?」


 連れて行かれた葵は、そのままベッドに座らされた。


「服脱いで」


 またふざけたことを……と殴ろうとしたら、その手はやさしく上から押さえられ、きゅっと縋るように握られる。


「お願いだから、今は言うこと聞いて」


 それでも動こうとしない葵に、カナデは無理矢理脱がしにかかる。


「ちょっ、カナデくん!」

「いいから大人しくして」


 葵はやっぱり抵抗ができなかった。彼の真剣な瞳の奥が、揺れていたから。
 それからカナデは葵が着ていたカーディガンを脱がし、リボンを取り、ブラウスのボタンを外していく。


「……さ、流石にこれ以上はちょっと」

「背中と腕、ちゃんと見せて」

「!」


 彼はどうやら、葵が残った理由に気付いていたらしい。家に帰ってやると、シントに心配掛けるからと思って、ある程度の治療して帰ろうと思っていたのだ。