取り敢えず、鳩尾を狙って拳を一発。でも珍しいこともあるもので、今日に限って彼もただでは倒れない。痛みを堪えながら涙目で葵を見てくる彼は、問答無用で葵の腕を掴み、ベッドへと連れて行こうとする。
葵は、抵抗をしようにもできなかった。彼の手が、震えていたから。
「……カナデくん?」
連れて行かれた葵は、そのままベッドに座らされた。
「服脱いで」
またふざけたことを……と殴ろうとしたら、その手はやさしく上から押さえられ、きゅっと縋るように握られる。
「お願いだから、今は言うこと聞いて」
それでも動こうとしない葵に、カナデは無理矢理脱がしにかかる。
「ちょっ、カナデくん!」
「いいから大人しくして」
葵はやっぱり抵抗ができなかった。彼の真剣な瞳の奥が、揺れていたから。
それからカナデは葵が着ていたカーディガンを脱がし、リボンを取り、ブラウスのボタンを外していく。
「……さ、流石にこれ以上はちょっと」
「背中と腕、ちゃんと見せて」
「!」
彼はどうやら、葵が残った理由に気付いていたらしい。家に帰ってやると、シントに心配掛けるからと思って、ある程度の治療して帰ろうと思っていたのだ。



