すべてはあの花のために②


「ご、ごめんなお嬢さん。まさかこんなことになるとは思ってなくて……」


 ステージ裏にいたさっきの三人の業者さんが、おろおろと出てきた。


「いえいえ全然大丈夫ですよ! それよりも、お借りしたこの衣装が傷んでないか心配です」

「そんなのはどうでもいいんだよ。お嬢さんに、怪我はなかったかい?」

「ちゃんと受け身も取ったので大丈夫です!」


 本当のところは腕と背中が強烈に痛い。恐らく痣になるだろう。


「俺らは、ただアカネ氏に喜んでもらいたかっただけなんだ」

「お嬢さんを打ち合わせの会場で見た時に、アカネ氏の大好きなマミリンにそっくりだったから。驚かせてやろうと……」

「最近は同好会に顔を出さなくて心配だったんだ。だから、これでも見たらびっくりするだろうと、……思ったんだけどな」


 しょんぼりと落ち込んでいる三人の気持ちはよくわかる。だから、葵は深く彼らに頭を下げた。


「すみません。あなた方にお願いされたのに、彼を助けるどころか余計怒らせてしまって」

「そんな! お嬢さんが頭下げんでください!」

「でも諦めません。きっと、彼の思いを軽くしてみせます」

「お嬢さん。……アカネくんを、よろしくな」


 彼らも葵に深く頭を下げてくる。
 みんな思いは同じ。彼にただ、笑っていて欲しいだけ。


「取り敢えず。もう着替えてもいいですか?」

「待ってくれ! せっかくだから何枚か写真を撮っておきたい!」

「ネットには流しません故!」

「少しだけそのままでお願い致しまする!」


 その後いろんなポーズをさせられたり、一緒に写真を撮ったりしてからようやく、葵は魔法少女から解放されたのだった。