すべてはあの花のために②


「あ……」


 アカネは、開いた口が塞がらないようだった。


「(な、何か言ってもらわないと、こちらも恥ずかしいんだけど……)」


 ステージの上でもじもじしていると、アカネが早歩きでステージの上に上がってくる。今光を浴びているのは、葵とアカネの二人だけ。


「あっ、アカネくん。どうかな? 似合――」


 似合うかと聞こうとしたら、アカネに思いっきり抱き締められてしまった。逃がすまいと、必死にしがみつくように。


「あ、アカネくん? 一体どうし」

「……て」


 何度目かにしてようやく、耳がその声を拾ってくれる。


「……っ。おねがいだっ。たすけて……」

「――!!」


 そして彼は、しがみついたまま泣き始めてしまった。


「きみなら。できるんだ。……っ。きみにしか。たのめないんだよ……」


 彼がそれを伝えたいのは、魔法少女だ。
 葵は彼の背中をゆっくりと撫でながら、落ち着かせるように答える。


「……うん。アカネくんは、わたしにどうして欲しいのかな?」

「きみなら。わかるだろう……っ? だから。きみじゃなきゃ。だめなんだ……」

「(いや、流石にわからないんだけど……)」


 けれど、引っかかることはある。
 空手に柔道、そして絵。……彼は、一体何に苦しんでいるというのか。