「あ……」
アカネは、開いた口が塞がらないようだった。
「(な、何か言ってもらわないと、こちらも恥ずかしいんだけど……)」
ステージの上でもじもじしていると、アカネが早歩きでステージの上に上がってくる。今光を浴びているのは、葵とアカネの二人だけ。
「あっ、アカネくん。どうかな? 似合――」
似合うかと聞こうとしたら、アカネに思いっきり抱き締められてしまった。逃がすまいと、必死にしがみつくように。
「あ、アカネくん? 一体どうし」
「……て」
何度目かにしてようやく、耳がその声を拾ってくれる。
「……っ。おねがいだっ。たすけて……」
「――!!」
そして彼は、しがみついたまま泣き始めてしまった。
「きみなら。できるんだ。……っ。きみにしか。たのめないんだよ……」
彼がそれを伝えたいのは、魔法少女だ。
葵は彼の背中をゆっくりと撫でながら、落ち着かせるように答える。
「……うん。アカネくんは、わたしにどうして欲しいのかな?」
「きみなら。わかるだろう……っ? だから。きみじゃなきゃ。だめなんだ……」
「(いや、流石にわからないんだけど……)」
けれど、引っかかることはある。
空手に柔道、そして絵。……彼は、一体何に苦しんでいるというのか。



