ヒナタは一度、葵の顔を見てからみんなの方へと向き直り、例の視線が業者との打ち合わせの時に感じたことを併せて伝える。
「業者は体育祭の前日準備にも学校に入るから、その日も危険かもしれないってことか」
「可能性はあるけど、本当の目的は文化祭の方なのかもしれない」
「文化祭こそ一般人に開放してるもんねー」
「(う~ん……)」
みんなと一緒に頭を抱えて悩んでいると、不意に視線を感じて目を開ける。すると何故かヒナタと目が合った。
「あんたは、特に気をつけておいた方がいいと思う」
「え? わたし?」
「その視線は多分、あんたを見てたから」
その場の全員に緊張が走る。
「アンタ、狙われるようなことでもしたの」
「いやいやそんなわけ! ……でも、『わたし』?」
その日は体調が悪くて、見られていたことには一切気付かなかった。そんな余裕はなかったから。
「(それにしても『わたし』を狙うなんて……)」
一体何の目的が……と、葵は一人考え込む。すると、ヒナタが。
「あんたは極力一人にならないようにした方がいいと思う。しょうがないから、オレもちゃんと仕事するよ」
「え? する気なかったの?」
「そういうわけだから、オレがいない時はみんなでこいつのこと、気をつけて見てて欲しい」
「なかったんかい」
けれど、『わたし』だけが狙いとも限らない。もしかしたら生徒会自体という可能性も十分にある。
「ひとまず体育祭前日と当日は無線を持っているから、怪しいと思ったら必ず全員でやりとりしよう。極力一人では行動しないこと。それだけは絶対に守るように」
その後、次の文化祭の日取りを把握した後、この日の会議は終了した。



