すべてはあの花のために②


「まあ別にいいけど。それで? 迎えは呼べるの」

「……呼びたくない」


 ヒナタは盛大に大きなため息をついた。


「……じゃあ送ってくから、取り敢えず連絡だけでも入れとけば」

「はっ! また携帯さんに失礼なことするとこだった!」


 慌ててシント宛てにメールを一通送っておいた。


「それじゃあ帰るよ」

「うん。本当にありがとねヒナタくん」

「どういたしまして」


 その後帰りの二人の間にはあまり会話はなかったものの、前回のような気まずさはなく、葵の家の前までヒナタは送り届けてくれた。


「じゃ、また明日生徒会で」

「うん! ありがとう! さようなら!」


 ヒナタの姿が見えなくなるまで、葵は手を振り続けた。


「(ほんとに助かったや。……にしても、どうしていきなり資料が……)」


 その二人の帰りを、二つの影が見ていた――――。