「まあ別にいいけど。それで? 迎えは呼べるの」
「……呼びたくない」
ヒナタは盛大に大きなため息をついた。
「……じゃあ送ってくから、取り敢えず連絡だけでも入れとけば」
「はっ! また携帯さんに失礼なことするとこだった!」
慌ててシント宛てにメールを一通送っておいた。
「それじゃあ帰るよ」
「うん。本当にありがとねヒナタくん」
「どういたしまして」
その後帰りの二人の間にはあまり会話はなかったものの、前回のような気まずさはなく、葵の家の前までヒナタは送り届けてくれた。
「じゃ、また明日生徒会で」
「うん! ありがとう! さようなら!」
ヒナタの姿が見えなくなるまで、葵は手を振り続けた。
「(ほんとに助かったや。……にしても、どうしていきなり資料が……)」
その二人の帰りを、二つの影が見ていた――――。



