妃候補なんて興味ありません!

「なんってことするんですか!!」
10番目の姫君の部屋でリュナの怒号が響き渡った。

シーラは両耳に指を突っ込んでどうにか鼓膜が破れなくて済んでホッとしている。

「大丈夫よ。手品だと思ってくれたから」
そういうシーラの背後では龍のシッポがチョロリと覗いている。

久しぶりに外へ出てきたのでまだ戻りたくないのだろう。
その気持を汲んだシーラが龍のシッポを掴んで引っ張り出した。

途端に龍は天井高くまで舞い上がり、自由自在に部屋の中を飛び回る。

自国にいたときには1日1度は外に出して自由にさせてやっていたけれど、デンダン国に来てからはさすがに我慢していたので、かなりストレスが溜まっていたみたいだ。

リュナは飛び回る龍に一瞬ギョッとした顔をしたものの、シーラの侍女になって4年目ともなるともうなれたものだった。

「これ異能だとバレたら死刑ですよ、死刑!」