守ってやるよ

そう思うとまた泣けてきて。



そんなあたしを見て、優しく頭を撫でてくれる千里。



千里に今の話をすると、「俺もそう思ってたよ」と小さく言った。



あたしたちきっと、同じ大切な人を失って、特別な絆が芽生えてる。



もっと早く千里と話せば良かった…。



観里が死んでからのあたしは、すべてを失ったように感じて、何も受け入れられなくて。



かろうじてお葬式に行ったくらいで、観里を失ったことを受け入れられなくてお墓参りにも行っていない。



観里の家族に会うのも無理だった。



それをすれば観里がいないのを実感してしまうから…。



でも、こうやって2人で話をすると、良くなっていくこともあるんだね…。



観里のいない毎日だけど、前よりも心が不安定じゃなくなってきているのを感じるよ。



だけどそれも寂しくて。



観里を忘れているんじゃないかという罪悪感や苦しさも同時に存在するのも事実。



まだまだあたしは乗り越えられない…。



いや、乗り越えたいと思ってないのかも…。



それから1時間くらいそこでサボって、あたしたちは授業に戻った。



次は体育。



だるい…。



しかも今日はペアでキャッチボールをしないといけないらしい。



ペアなんてあたしとなってくれる人いないんですけど…。



「一人でやればいいのにね~」



なんてクスクス言われてる。



見かねた先生が、「相川(あいかわ)、お前が岡崎とペア組め」と言った。



えっ…。



相川さんって一番あたしのこといじめてくる子なんですけど…。



「え~、嫌でーす」



相川さんはそう言ってケラケラ笑ってる。



けど、先生ににらまれて渋々あたしのところに来た。