守ってやるよ

「芽衣…」

「なに?」

「俺と…付き合うか?」



千里の言葉に、あたしは大きく目を見開いた。



その目から涙が1滴こぼれ落ちる。



「いいの…?」

「まだ俺の中の気持ちが整理できたかというと微妙だけど…この1年を通して、俺も色々と考えたんだよ。観里が俺の背中を押してくれてる気がした。芽衣を一人にするなと言ってる気がした」



そう言って千里があたしをもう一度優しく抱きしめて。



「俺と…付き合って」

「千里…!」



あたしは涙が止まらない。



だけどあまりにも胸がいっぱいで。



言葉にすることもできず、ただ千里を抱きしめ返した。



「あたし、観里のことは…これからも心の中に居続けるよ? それでもいい?」

「それは当然のことだって思ってる。それでも芽衣が好きだよ。一緒にいたいし、一緒に観里のことを忘れないように大切にしていこう」

「千里…ありがとう。大好き…」



涙を千里の肩に吸わせて。



観里のことを忘れるわけじゃない。



それでも、こうやって新しく前を向いて、千里と一緒に新しい道を歩いていくんだ。



観里と同じくらい大切な千里と一緒に、新しい人生を歩んでいく。



あたしたちはこうして結ばれることになった。