守ってやるよ

それからあたしたちは、つかず離れず、寂しいときにはそばにいて、付き合ったりはしなかったけど、ずっと一緒にいた。



「千里、勉強教えて」

「俺たちも受験生だな~」



一緒に大学受験のための勉強をしたり。



雪の日には一緒に雪遊びをして、夏には花火大会にも行った。



あたしたちはあたしたちなりの関係を築くよ。



「芽衣は、幸せそうだね」

「花乃ちゃん…。そうだね、観里が死んでからは…今が一番幸せなのかも。観里のことは当然忘れたわけじゃない。思い出して苦しい日もある。だけど千里がそばにいてくれるから。千里がそばにいてくれることが今のあたしにとっての一番の幸せなのかも」

「芽衣がそう思えるようになって良かった。あたしもね、お兄ちゃんが死んでからもう2年経つけど、だいぶその死を乗り越えられてきた。寂しいけど…時間って薬なんだね。癒しになった」



あたしにとっては花乃ちゃんの存在もきっと大きかった。



千里のほか、誰も味方がいなかったあたしの前に花乃ちゃんが現れて。



同じ苦しみを抱える花乃ちゃんがいたからそれを分かち合うことで苦しみから逃げることができたんだと思う。



花乃ちゃんもあたしにとってすごく大切な人の一人。



それからあたしたちは大学受験を終えた。



第一志望校の合格発表は、2月21日。



観里の命日。



あたしは千里の家でオンラインの結果発表を待っていた。



あたしと千里は志望校は違うけど、たまたま今日が同じ結果発表の日で。



時間になって、2人でネットで結果を確認する。



「千里…受かった!」

「俺も」



やったー!



2人で思わず抱き合って。



一年間頑張ってきたことが報われて良かった。



千里は優しい顔であたしを見ていて。



なんとなく2人の間に不思議な、でも穏やかな温かい空気が流れた。