守ってやるよ

「観里、あたし観里のことがとっても大切だよ。今でもずーっと心にいる。それはこれからも消えることはないよ。だけどね…観里がいなくなってどん底だったあたしを、闇の中から守ってくれた千里のこと…愛してもいいかなあ?」



そう言うあたしを千里はじっと見ていて。



あたしは千里に微笑んだ。



さっきまでくもり空だった天気は、いつの間にか晴れ間が差していて。



観里が笑いながらあたしを見守ってくれているような気がした。



「千里も…観里に言いたいことあるでしょ?」



あたしがそう言うと、千里も小さくうなずいて、お墓の前にしゃがんだ。



それからじっと手を合わせて目を閉じた。



しばらくそうしていて。



どのくらいそうしてたかな。



千里が立ち上がった。



「何…話してたの?」

「俺の謝罪と、芽衣への改めての気持ち。俺が今後どうしたいか。そんなのを…観里に伝えるというよりは、俺の心の整理みたいにして話してた」

「そっか…」



千里は少し悲しそうに笑ってあたしを見た。



それからあたしの頬に手をやる。



「頬…冷てえな」

「千里…?」

「正直、芽衣のことは…好きだよ。昔からずっと。そして今も。抑え込んでも抑えきれないくらい、今も芽衣への気持ちが溢れ出してる」



千里がそう言ってあたしをそっと抱きしめた。



あたしは突然のことにびっくりしたけど、腕をそっと背中に回す。



「だけど、自分の気持ちとの折り合いが、俺にはまだ…つけられない」



背中越しに聞く千里の声。



千里は今…どんな表情をしているんだろう。



身体を離して千里を見た。



千里はやっぱり悲しそうで。