守ってやるよ

~芽衣~

あたしの腕の中で泣き続ける千里に、あたしも一緒に泣き続けるしかなかった。



千里の苦しみ、充分伝わったよ…。



どうしてあれほどあたしを拒んだのかも。



あたしの言葉がどれだけ千里のことを救えるのか分からない。



だけど、千里があたしを前に進ませてくれたから。



あたしも千里と一緒に前に進みたいよ…。



「千里」

「…」

「観里のお墓参り、一緒に行こう」



千里は何を言われたのか分からない表情であたしを見ている。



あたしはにっこり笑った。



「あたしは千里のことが好き。だけど観里も忘れられない大切な人なの。だから観里に一緒に挨拶をしに行きたい。あたしが乗り越えたことも、千里の罪の意識も。観里に伝えに行こう」



そう言ってあたしは立ち上がり、千里の腕を引いた。



あたしはもう一度笑う。



「今から。行こう?」



そう言って一緒に階段を下りた。



千里はあたしに言われるがまま。



一緒にそーっと教室に忍び込んで荷物を取って、学校を出た。



雪は止んだものの、相変わらずの雪景色。



こんなときにお墓参りなんて馬鹿みたいだけど。



だけど今すぐ行きたかったの。



雪の中2人で歩いて。



それほど遠くない観里のお墓にはすぐ着いた。



一周忌以降、あたしは一人で何度かここに来ていた。



今でも墓石に掘られた観里の名前を見ると苦しいけど、もうここには普通に来られるようになったよ。



あたしはお墓の上に積もった雪を払う。



「ほら、千里もやって」



そう言って千里にも手伝わせた。



それから、お墓の前でしゃがむ。



あたしは手を合わせた。