守ってやるよ

俺の涙は止まらない。



俺の告白に、芽衣が勢いよく俺のことを抱きしめた。



そして俺の背中をさする。



「大丈夫、大丈夫だから」



芽衣は泣きながらそう言った。



「観里は強い人だから、そんなことで動揺したりしない」

「でも…俺のせいで家を出たんだとしたら」

「違うよ、違う」



芽衣がそう言ってポケットからスマホを出した。



それを操作して俺に見せる。



観里とのチャット画面…。



『雪遊びしよ!』



そんなやり取りの下、一番下の文字。



『千里と芽衣にあげようと思って、2人が好きなプリンと、寒いからカイロ買ってきた! あとであげるね。合格発表、うまく行くといいね』



「これが最後のメッセージだったの。いつも通りあたしたちのことを考えて、いつも通りのことをしてくれようとしてただけ。車に跳ねられたのは…運が悪かったの…」



そう言って俺のことをさらに強く抱きしめて、一緒に泣いた。



「一人でこんな思い抱えてつらかったよね、抱えさせてごめんね…」

「…」

「あたし一人で千里にばっか頼ってた。千里のこと考えもせずに…。これからはあたしが支えるから…」



観里がどんなつもりで家を出たのか。



どんな思いで歩いていたのか。



それはやっぱり芽衣とのメッセージを見ても俺の中で疑いは晴れない。



だけど、芽衣のその言葉は、その腕のぬくもりは、俺の心を溶かした。



心が救われるのを感じた。



芽衣に…守ってもらえているとそう感じていた。