守ってやるよ

そんな観里に俺はちょっとイラっとして。



“今日、芽衣と雪遊びする約束してるけど、千里も来ない?”



俺がどう思ってるかも知らずに軽くそう言う観里。



俺の気持ちを言ってしまおうと思った。



“俺、高校入ったら芽衣のこと奪うから”



俺がそう言うと、観里はキョトンとした顔をした。



俺はさらにイライラする。



“俺、芽衣のこと好きなんだよ”

“千里…”

“同じ高校にしたのもわざと。観里なんかより、絶対俺の方が芽衣と合ってる。絶対芽衣のこと振り向かすから”



そう言うと、観里はすごく驚いた顔をして。



俺がそんな思いを抱えていたなんて全く思ってなかったんだろう。



それから、しばらくしてから家を出て…。



そして…。



観里は文字通り帰らぬ人となった。



観里がどうして家を出たのか分からない。



コンビニに行っていたらしい。



俺の言葉に動揺して頭を冷やそうとしたのか、それとも元々行こうとしていたのか。



だけどあんなタイミングで家を出るなんて。



観里はスリップした車に跳ねられた。



俺が動揺させるようなことを言って、ぼーっと歩いていたんだとしたら。



俺が動揺させるようなことを言って、ぼーっと歩いていたんだとしたら。



何回考えても俺のせいとしか思えなかった。



俺が勢いに任せてあんなこと言わなければ、観里は死ぬことはなかったんじゃないか。



俺が芽衣にそんな思いを抱いたせいで。



俺がそれを観里に伝えたせいで。



観里は死んだんだ…。



だから俺は芽衣にそんな思いを抱いちゃいけない。



芽衣とどうにかなるなんてそんなこと思う資格がない。



俺のせいで芽衣は観里から引き離された。



だからその罪の分芽衣のことを守らなきゃいけない。



芽衣に対しての思いはあの日以来封じ込めた。



それなのに、芽衣との距離が近くなるにつれ、その封じていた思いはあふれてくる。