守ってやるよ

あのとき、千里と確かにつながった気がした。



千里に思いを伝えたのは、千里とどうにかなりたいと思ってのことじゃないけど。



千里のその表情、あのときの感覚を知ったら、やっぱり千里もあたしのことを…好きなんじゃないかという気がして。



千里のことを…あたしは求めている。



「あのときは…芽衣が苦しそうだったから。つい…」



千里の表情はやっぱり苦しそうで。



あたしが…千里を苦しめている。



そう思うと、あたしはこれ以上千里のことを苦しめられない。



あたしはこれ以上、千里のことを苦しめたくないと思った。



千里には…千里の思うことがある…。



「分かった…。ごめんね、千里」



あたしはそう言って腰を上げた。



「別に千里とどうにかなりたいと思ったわけじゃないの。ただ、あたしがこれを千里に伝えることで前を向きたかっただけ」

「芽衣…ごめん」

「謝らないで。こっちこそ急にごめん。びっくりしたよね」

「…」

「千里…本当にありがとう。大好きだよ」



目に涙を浮かべたまま。



あたしはそう言って千里の部屋を出ようとした。



そのとき…。



後ろから、千里に抱きしめられた。



「千里…?」

「なんでも…ない」



そう言って千里がすぐにあたしから体を離した。



あたしはびっくりして、千里の顔を見る。



千里は泣きそうな顔をしていた。



それでも…やっぱりあたしが千里を苦しめることになるんだろう。



あたしはここに留まれない。



色んな気持ちをこらえて、あたしは千里の部屋を後にした。