守ってやるよ

「千里、今まで、あたしのことを守ってくれて、救ってくれてありがとう。あたし、千里がいなかったら今もまだあの日の暗い影の中にいたと思う」

「うん…」

「あたしね、千里のおかげでたくさん笑えた。新しい景色も見ることができた。全部千里がそばにいてくれたからなの」

「…」

「だから…だからあたし、千里のこと…すごく、すごく大切に思ってる。観里と同じくらい」



千里は唇をきゅっと結んだ。



千里は…なんて言うだろうか。



だけどあたしはもう決めたの。



「千里のことが…好きだよ」



そう言うと、あたしの目からはまた涙がこぼれだした。



あたしは千里のことが好き…。



好きなんだよ…。



ようやくそれを認めて、言うことができた。



それだけであたしは、未来へ歩みを進めることができたんだと分かるの…。



目の前の千里は何を考えているか分からない。



だけど、渋い顔でようやく口を開いた。



「俺は…芽衣のこと、そんな風には…見れないよ」



そう言う千里の表情は苦しそうに見えて。



「じゃあ…なんであのとき…あたしを抱きしめたの…?」



あたしは言わざるを得なかった。