守ってやるよ

~芽衣~

千里と花火大会に行った。



千里の服の裾を掴んで歩く瞬間、一緒に並んで座ったことも。



あたしはドキドキしてしまう…。



それに、千里と2人で過ごす時間は楽しかった。



軽く言い合う冗談やなんとなくする会話。



千里と一緒にいると楽しい…。



そこから打ちあがった花火は本当に綺麗で。



隣にいる千里に反射する花火。



千里の横顔もすごく綺麗だった。



観里にも…見せてあげたかった。



そう思うと同時に、今あたしが千里と一緒に花火を見て、楽しんで、この時間を愛おしいと思っていることに、罪悪感があふれて涙が止まらなくなった。



その瞬間――。



千里があたしを抱きしめた。



強く強くあたしを抱きしめて、あたしの頭を撫でてくれて。



どうしようもなくあたしの心は動いてしまった。



甘えたいと思った。この胸の中にずっといたいと思ってしまった。



もう…あたしはこの気持ちに誤魔化しが効かない…。



そこから帰り道は2人ともひたすら無言で。



家まで送ってくれたとき、なんとも言えない表情で「じゃあな」と言った千里に、千里の気持ちも分かってしまったような気がした。



それから特に千里からは連絡がなかった。



初夏の気持ち良い天気が続いて、あたしに連絡する理由がなかったのかもしれないけど。



だけどあたしもいつもみたいに屋上でのサボりを誘ったりもしなかった。



あたしたちはどうなるんだろう…。