守ってやるよ

「うわあ、綺麗…」



芽衣の顔は花火に照らされキラキラしている。



この距離で見る花火はすごい迫力。



それからも次々と上がり続ける花火。



あまりにも綺麗なそれは、俺たちを引き付けた。



「綺麗だね」

「そうだな」

「観里にも見せてあげたかったな…」

「…」



芽衣の顔を見ると、涙を目元に浮かべていた。



それからそれはどんどんと溢れ出して。



俺は何も言えない。



片手で芽衣の頭をそっと撫でた。



そこから芽衣の涙は止まらなくなった。



「千里…」

「うん」

「あたし…観里のこと…裏切ってるのかなあ…」

「…」



芽衣はそう言いながら両手で顔を覆って泣いて。



俺は…思わず。



芽衣の苦しみを全部分かってやれる気がして。



芽衣のことを強く抱きしめた。



「千里…」



そう言いながら泣き止まない芽衣。



抱きしめながら、芽衣の頭を撫でると、芽衣はさらに俺にしがみついた。



こんなことしちゃいけない。



芽衣に必要以上に近づいちゃいけない。



そう思っても、目の前の泣く芽衣をどうしても俺は離すことができなかった。



花火は俺たちの苦しみもすべて見透かすように、ただひたすら咲き誇っていた。