守ってやるよ

~千里~

芽衣が最近おかしいのは明らか。



顔を合わせても、電話をしても。



どこか慌てていて。



そのおかしさは、もしかしたら…。



心当たりがないわけでもない。



だけどそれ以上は考えちゃいけない…。



俺は、それ以上考えちゃいけない。



それに、俺も…。



距離が縮まれば縮まるほど。



日ごと芽衣の存在は大きくなる。



目を閉じると芽衣の笑顔が浮かんでくる。



あの笑顔が欲しかった。



あの笑顔を取り戻したかった。



そして今、それは戻りつつあって。



でも俺が思っていいのはそこまでだ…。



だって、観里は。





だって観里は、俺のせいで死んだから。





俺は芽衣を好きだなんて思ってはいけない…。



だけど守ると決めたから。



俺は今日も芽衣に電話をかける。



「もしもし」

≪千里っ? あっ…今日もありがとね≫



上ずった声。



その声は俺を期待させてしまうから…。



やめてくれ…。