守ってやるよ

そんなある日。



朝から大雨のひどい天気。



克服しつつあったけど、久しぶりになんだか胸が重かった。



それでもなんとか学校に行って。



1限の授業はいつも以上にジメジメした美術室。



やば…無理かも…。



心臓がドキドキしている。



吐き気がこみ上げてくる。



胸のあたりをさすって何とか落ち着かそうとする。



隣にいた花乃ちゃんが心配そうにあたしを見てきた。



どうしても苦しい。



千里…助けて…。



千里に会いたい。



どうしても苦しくて、千里に助けてほしくて。



あたしは千里に『助けて』とメッセージを送った。



すぐに既読が付き、『屋上な』と返事が来る。



心がホッと落ち着きを取り戻すのが分かった。



あたしは先生に体調が悪いから保健室に行くと嘘をつき、屋上に駆け上がった。



千里は屋根の下に立っていた。



あたしを見てあたしに駆け寄って。



「大丈夫か?」



その顔を見たら、何もかもが安らいだ。



もはやあたしには千里がいなくてはいけない存在になっている…。



「千里…ありがとう」

「久しぶりだな、屋上の呼び出し」

「そう…かな」



あたしは屋上に少し出て、屋根の下で深く深呼吸をした。



外の空気が肺を満たす。



千里はあたしの今までの態度と、久しぶりの呼び出しに何か思うところがありそうな様子だったけど、何も言わなかった。



千里のことを好きになってはいけない。



その裏腹に、千里からはどうしても離れることのできない自分を感じていた。



そしてそれは同時に、観里への後ろめたさも助長して。



あたしはどうしていいのか分からなかった。