守ってやるよ

「聞いてて思っただけだから。余計なこと言ってごめん」

「あたしが好きなのは…観里だよ」

「観里くんのことを好きなのも間違いはないんだと思う。だけど、心にはもう一人…千里くんがいるんじゃないかなって、そう思っちゃったの。ごめん、気にしないで」



そんなこと…。



あり得るわけがないでしょ…。



花乃ちゃんの言っていることを咀嚼できないまま、授業終了を知らせるチャイムが鳴った。



あたしたちは教室に戻った。



花乃ちゃんの言うことに納得はできなかった。



だから忘れることにした。



それよりも、久しぶりにできた友達があたしには嬉しくて。



友達ができて嬉しいという感情も久しぶり。


それを早く千里に報告したかった。



千里に報告したい…。



これも、普通の感情だよ…。



3日後、回復した千里が登校してきた。



「おかえり。よく無事に戻ったね」

「途中危なかったわ。水すら飲めない瞬間あった」

「季節変わって調子崩したのかね」



あたしが誘った屋上でのサボり。



千里にとっては新学期から3日開けて初登校したのにその初日からサボったことになる。



それでも付き合ってくれるんだからやっぱり優しい…。



あたしは千里に友達ができたことを報告した。



「ふーん。良かったな」

「うん、なんかね、あたしから話しかけられたことにびっくりしたし嬉しかった」



千里はあたしのことを優しい顔で見る。



そのふとした表情に…あろうことか少しドキッとした…。



いや…あり得ないあり得ない。



気のせいだよ…。