守ってやるよ

その子は空を眺めてて。



あたしが屋上に入ってきた気配に気づいてこちらを向いた。



さっきの転校生の子だ…。



あたしは軽く会釈をした。



向こうも会釈を返してくれて、また空を眺め始めた。



そのとき、あたしは何か不思議なものをその子に感じた。



空を見るその後ろ姿が何か悲しげで。



この子と話がしたい…。



ふとそう思った。



あたしはそーっとその子に近づいた。



「隣、いいかな?」



あたしがそう言うと、その子は軽くうなずいた。



「あたし、岡崎芽衣。市村(いちむら)花乃(かの)さん、だよね?」



どうしたんだろ、あたし。



こんな風に誰かに話しかけるなんて久しぶり。



でもどうしてもこの子と話がしてみたかった。



「市村さんは…サボり? だよね」



あたしがそう言うと、市村さんは軽く笑った。



「そりゃそうでしょ」



あたしはその笑顔に少しホッとする。



「あたしもサボり~。しんどいんだよね、学校って」

「分かる。学校変わっても一緒」



市村さんはそう言って屋上に寝転んだ。



あたしも隣に寝転ぶ。



「天気良いね」

「あたし、天気良い日苦手なんだよねー」



市村さんがふとそう言った。



意外な言葉にびっくりして市村さんを見るあたし。



あたしと逆だ。



「そうなんだ。あたしは天気の悪い日が苦手。きっつい」



そう言って苦笑した。



市村さんはじっとあたしを見てる。



それからお互い、ぽつりぽつりと喋っていた。



学校には来たくないけど家に一人ではいられないこと、心がモノトーンで楽しみがないこと。



あたしたち、何か通じ合うものがある…。



そう思ったとき、市村さんがびっくりすることを言った。