守ってやるよ

「観里!?」



咄嗟にあたしは振り返る。



でも、そこにいたのは…。



「久しぶり」

千里(ちさと)…」



観里の弟、あたしと同い年の千里だった…。



観里かと思った…。



そうか、千里の声って観里とそっくりだったね…。



「何してんの、こんなとこで」

「サボり…。千里こそ…」

「俺もサボり」

「不良じゃん…」

「そっちこそ」



2人でなんとなく軽く笑い合って、雨を眺めた。



同じ高校の千里。



観里とは3人で幼なじみとして仲良くしていた。



観里が死んでからはほとんど顔を合わせていない。



学校ですれ違うこともあったけど、なんとなく距離を置いていた。



あたしは改めて千里の顔を見た。



茶髪だった観里と違って黒髪の短髪。背も、身長の高い観里と違い平均くらい。



全然違うけど、顔立ちはそっくり…。



その大きい目なんて、観里とほとんど同じなんじゃないかっていうくらい。



その顔を見ていたら、なんだかまた泣けてきた。



あたしは千里に悟られないように、正面に顔を戻した。



「天気…悪いね」

「そうだな」

「梅雨って嫌いだなあ…」



観里の死んだ日も天気の悪い日だった。



その日は大雪で。



前日の夜、観里とやり取りしていたことが思い出される。