守ってやるよ

「千里…あたし、多分ね、ほとんど観里の死を乗り越えたんだと思う」

「…」

「もちろんまだまだ受け入れられない部分は多いよ。それでも、この1年で随分変わった。前みたいにあの日から遠ざかるのが怖いとも思っていない。今はどちらかというと…乗り越えた上で、観里との思い出を大切にしたいと思ってる」

「そうか…」



千里は優しい顔であたしを見ていた。



あたしはその表情がなんだか嬉しくて。



雪の降る寒いこの場所も気にならなかった。



「千里のおかげだよ、ありがとう」

「そう言ってもらえて…良かった」

「だからね、あたし、観里の一周忌もちゃんと出られると思う」



観里が死んでから、色んな法要の案内をご両親からもらっていたけど、あたしはお葬式以外どれも行けなくて。



それを今は少し後悔もしている。



観里だってあたしに来てほしいと思っているはず。



だから、一周忌こそ…行こうと思ってる。



あたしの決心に、千里は優しい顔を崩さない。



だけど…どうしてかな。



その優しい顔に少し複雑な表情が織り交ざっているような気がした…。