守ってやるよ

「どうした?」

「ううん…なんでもない」



観里があたしの背中を押してくれたんだと思った。



それから雪だるまを作って家の前に置いて。



「一応…これで果たせたな」

「うん…ありがとう、千里…」

「なんか…無理やりさせて悪かったな…」

「そんなことないよ…」



千里の言う通り、観里と果たせなかった最後の約束を果たすことで、あたしはしがらみから解放されたような気がした。



全部千里のおかげ。



千里があたしをあの日から抜け出させてくれた。



観里のことは忘れていない。



心の中に居続けている。



だけど、あの日に置き去りにされたままの、心がモノトーンだったあたしは、ずいぶんと前に進むことができたよ。



雪景色の前、あたしは大きく深呼吸した。



もしかしたら、雪景色のトラウマは、まだあたし一人では乗り越えられないかもしれない。



だけどそばに千里がいてくれたら。



あたしは頑張って立っていることができるんだと思う。